○〔ゼノブレインAI解析〕「企業分析」機能、逆引きで業績への影響をチェック

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 トヨタ自動車が発表した2019年9月中間連結決算は、純利益が1兆2749億円と4年ぶりに過去最高を更新した。米中貿易摩擦による世界経済の減速が懸念される中、今後の業績動向が注目される。AIによるニュースと企業決算の解析サービス「xenoBrain(ゼノブレイン)」は、経済トピックから業績への影響を予測する「ニュース分析」のほかに、「企業分析」の機能を備えている。設定した企業に影響のあるニュースと要因を逆引きでチェックできる。トヨタを例にこの機能を試してみた。

 トヨタにとってプラスの影響が予測される要因として「米中貿易摩擦減少」「物流コスト増加」などが挙がった。米中摩擦が収束すれば、トヨタ車の両国向け輸出が増加するので増収要因になるとの分析。これはイメージしやすい予想だが、次の事例はやや複雑だ。物流コスト増加→自動搬送システム需要増加→車載用3次元LiDAR需要増加→トヨタ増収という因果関係になる。LiDAR(ライダー)とはレーザー光で対象物までの距離を測定する装置で、自動運転に必要とされる。トヨタもスタートアップ企業などと組んで開発を進めており、需要拡大の恩恵を受ける可能性がある。

 一方、マイナスの影響が想定される事象では「豚コレラ発生」「建設需要増加」などがヒットした。豚コレラとの関係を見ると、豚の処分には大量の石灰が必要になるので需要増から価格が上がる→石灰を使う製鉄業のコストアップで鋼材価格が上昇→トヨタ減益というシナリオが示された。建設需要増加も最終的に鋼材価格の上昇が減益要因になると予測。ゼノブレインの分析では影響の「大きさ」までは示されない。この点を認識した上で、注目する企業の今後を展望するツールとして活用すると、社会の出来事と企業業績との意外な関係に気付くきっかけをつかめそうだ。

【注】ニュース解析結果はゼノデータ・ラボ社のAIサービス「ゼノブレイン」によるもので、詳しくはhttps://xenobrain.net/jiji/2019/11/18へ。本記事は、特定の有価証券や金融商品の売買を勧奨するものではありません。時事通信はゼノデータ・ラボ社に出資しています。

【2019年11月18日 時事通信社提供 】
※本記事は、時事通信社とゼノデータ・ラボの提携に基づき転載しております。
※ 時事通信社との提携記事 〔ゼノブレインAI解析 〕 シリーズは毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は火曜日)に配信予定です。