緊急事態宣言全面解除、「コロナ後」の企業への影響は?〔xenoBrain AI解析〕

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政府は5月25日、新型コロナウイルスの感染拡大防止のための緊急事態宣言を全面的に解除した。厳しいロックダウン(都市封鎖)が実施されていた海外でも、米国の全50州で制限緩和が始まるなど多くの国で社会・経済活動の再開に向けた動きが進む。とはいえ、再び感染が拡大する「第2波」も懸念される中、人々の日常生活や企業活動は以前の状態に戻るのではなく、「ニューノーマル(新常態)」に転換するとみられている。AI(人工知能)を活用した経済予測サービス「xenoBrain(ゼノブレイン)」で、「アフターコロナ」「コロナ後」をキーワードに、企業業績に与える影響を探ってみた。

  新型コロナの感染拡大が深刻化したことを受け、世界保健機関(WHO)は3月11日、パンデミック(世界的流行)を宣言。日本政府は4月7日に東京など7都府県を対象に緊急事態宣言を発令、同16日には対象を全国に拡大した。外出自粛で人と人との接触を8割削減し、商業・遊興施設や飲食店などの臨時休業や営業時間短縮により感染爆発を押さえ込む措置が実施された。

 一連の対策の効果で中国や欧米、日本などでは、感染者数の増加がピークアウトし、制限緩和につながった。緊急事態宣言の全面解除について記者会見した安倍晋三首相は「新しいやり方で、日常の社会・経済活動を取り戻す」と述べ、引き続き、密閉、密集、密接の「3密」回避などを継続するよう呼びかけた。経済活動の再開は感染防止に配慮しながら段階的に進められる。

 「アフターコロナ」時代の新たな社会・経済の行動様式は企業の経営環境にどのような変化をもたらすのか。ゼノブレインの解析では約2800社の上場企業の業績に影響が及ぶ可能性を指摘した。プラスの影響があると判断された企業が3分の2、マイナスが3分の1と、売上高や利益の増加につながるところが多数を占める。

 プラスのケースを見ると、感染防止のために必要な業務用空調機器やマスク、消毒液の需要が拡大するとのシナリオや外出自粛による「巣ごもり消費」に関連する内食、デリバリーサービス、動画配信、ネット通販などの電子商取引(EC)のニーズも高まるというシナリオが示された。恩恵を受ける企業は多岐にわたる。

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 また、新型コロナをきっかけに、企業の間では自宅で仕事をするテレワークが一気に広がった。AIはこうした働き方の変化は今後も続くと判断したとみえ、テレワークの需要拡大を想定し、関連するIT企業などの収益拡大要因になると予測。eラーニングやeスポーツ、オンライン診療、キャッシュレス決済などの市場拡大もピックアップした。

 さらに「アフターコロナ → 外国人労働者人数減少」のシナリオも示し、人材派遣会社やデータ入力などの業務を自動で行うロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)を手掛ける企業の増収要因になると分析した。入国制限により外国人労働者の来日が困難になるとの推測から、こうした予測を導いたとみられる。

 一方、企業にマイナスの影響が及ぶ可能性があるケースとしては、テレワークの普及に伴う「オフィス需要の減少」をピックアップした。実際、企業の間ではオフィスの面積縮小や都心から郊外への移転を検討する動きも見られる。こうした推測からゼノブレインは不動産会社の減収につながる可能性を指摘。またテレワークが定着することで、化粧品やスーツ、鉄道の需要が低下し、関連する企業の減収要因になるとの予測を示した。

 このほか、企業業績を悪化させるシナリオでは、マイナス金利の継続による銀行など金融機関への打撃を指摘。今後も外食を控える動きや大規模イベントの自粛が続くとの想定も提示した。自宅でパンを焼くホームベーカリーの需要が伸びる結果、製パン企業にはマイナスの影響が及ぶとのシナリオもあった。

 アフターコロナ時代の新たな行動様式がどのようなものになるかは現時点で明確に見通すことはできず、企業にとっては事業環境に不確定要素が増える。AIの予測も参考にして今後の経営計画などを再確認する必要がありそうだ。

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xenoBrainから一部抜粋

【2020年6月1日 時事通信社提供 】

《アフターコロナで業績への影響が大きい企業》
8818 京阪神ビルディング
9969 ショクブン
3137 ファンデリー
2212 山崎製パン
3840 パス
その他 


【注】
※ 本記事は、AIがアルゴリズムにより解析した結果を表示しております。また、登場する企業の総合的なリスク要因を鑑みた評価ではなくあくまで特定のトピックから受ける影響を予測しております。
※ 本記事は、特定の有価証券や金融商品の売買を勧奨するものではありません。
※ 本記事は、時事通信社とゼノデータ・ラボの提携に基づき転載しておりますが、タイトル等一部表現を変更している箇所がございます。
※ 時事通信社との提携記事 〔xenoBrain AI解析 〕 シリーズは毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は火曜日)に配信予定です。