安倍晋三首相は4月7日、新型コロナウイルスの感染爆発を防ぐため、東京、大阪、福岡など7都府県を対象に緊急事態宣言を発令した。これを受けて東京都は都内全域で外出自粛や商業施設などの一部に休業を要請。海外で実施されているロックダウン(都市封鎖)に比べると強制力は弱いが、緊急事態宣言が出たことで経済への打撃はさらに大きくなりそうだ。AI(人工知能)によるニュースと企業決算の解析サービス「xenoBrain(ゼノブレイン)」で「ロックダウン」をキーワードに企業業績への影響を予測してみた。
米ニューヨーク州やイタリア、スペインなど新型コロナの感染者が多い海外諸国では、不要不急の外出やオフィスへの出勤、商業施設の営業を禁止するロックダウンと呼ばれる強力な措置が取られている。日本の場合は外出自粛の「要請」にとどまり、安倍首相が強調するように「ロックダウンではない」。しかし、感染者を減少させるため、政府は国民に対して人との接触を7〜8割削減するよう強く求めており、これまで以上に飲食業や商業・娯楽施設などへの打撃が大きくなることが予想される。第一生命経済研究所は、東京都でロックダウンが行われた場合、1カ月で実質GDPが5兆1000億円減少すると試算している。
AIの予測はどうか。ゼノブレインで「東京のロックダウン開始」のシナリオで分析すると、国内上場企業約2700社に影響が及ぶとの結果が出た。このうち7割強は減収や減益、3割弱が増収や増益になるとの予測だった。
マイナスの影響が大きいと判断されたのは、外食、化粧品、娯楽施設、人材派遣サービスなどを手掛ける企業。外出自粛・企業のテレワーク導入加速による利用者減少や店舗・企業の臨時休業で人材派遣のニーズが低下するとの推測が働いたようだ。このほか、グルメサイト、ブライダル、紳士衣料、居酒屋、スポーツ施設など非常に多くの需要減少をピックアップした。
一方、プラスの効果があると予測されたのは、ネット通販などのEC(電子商取引)やパソコン、Web会議システム、eラーニング、クラウド、テレワークなどに関係する企業だった。自動車の利用も減るとみられることから、事故件数減少で損害保険会社の利益増加要因になることも指摘した。
政府は緊急事態宣言と同時に総額108兆円に上る過去最大の緊急経済対策を打ち出した。今後の企業業績の動向については、対策による効果も踏まえて見極める必要がある。
【2020年4月13日 時事通信社提供 】
《東京都ロックダウン開始による影響が大きい企業》
・9723 京都ホテル
・9713 ロイヤルホテル
・6543 グリーンズ
・7448 ジーンズメイト
・3299 ムゲンエステート
・7518 ネットワンシステムズ
・9312 ケイヒン
・2146 UTグループ
・7562 安楽亭
・3053 ペッパーフードサービス
・4768 大塚商会
他
【注】
※ 本記事は、AIがアルゴリズムにより解析した結果を表示しております。また、登場する企業の総合的なリスク要因を鑑みた評価ではなくあくまで特定のトピックから受ける影響を予測しております。
※ 本記事は、特定の有価証券や金融商品の売買を勧奨するものではありません。
※ 本記事は、時事通信社とゼノデータ・ラボの提携に基づき転載しておりますが、タイトル等一部表現を変更している箇所がございます。
※ 時事通信社との提携記事 〔xenoBrain AI解析 〕 シリーズは毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は火曜日)に配信予定です。